ノーベル物理賞を取得したリチャード・ファインマンが科学理論の確立について、こう語る:

まず推測から始める。そして計算を行い、結果が推測に当てはまるかを確認する。最後にその計算結果を現実世界での実験と観察を通じて、推測通りの働くかを確認する。もし結果と推測が異なる場合、その推測が間違っているというだけだ。この簡潔な陳述が科学の真髄である。

First we guess it. Then we compute the consequences of the guess to see what would be implied if this law that we guessed is right. Then we compare the result of the computation to nature, with experiment or experience, compare it directly with observation, to see if it works. If it disagrees with experiment it is wrong. In that simple statement is the key to science.


科学理論に「絶対正しい」は有り得ない。何故なら私達が知っている物は、この世界に比べれば、あんまりにも少ないからだ。ニュートンの理論が数百年「正しかった」が、100年前にアインシュタインが「間違っている」と証明した。そのアインシュタインの理論が認知している世界も、量子力学によって「間違っている」と証明された。だからこそ、科学者は「自分は恐らく間違っていない」と言い、「絶対正しい」とは言わない。

それに対して、私達の思考はどうなんだろう?毎日ネット上や現実世界で起きている議論は、常に「私が正しい」を証明するのに繰り返されている。それを立証ための情報は自分自身の知識と経験。つまり一人分の短い人生(年齢同等)に基づいたもので、どこからの自信で「私は正しい」と言えるのか?

「君が間違っている」という意見も、物事の全貌を知らない時点で指摘する。または全貌を知ようとしない。何故なら「私はそんな暇ではない」という言い訳をする人もしばしば。結局は「私が(君に対する指摘が)正しい」という踏ん反り返った傲慢さを見せつけているだけのこと。

もっと怖いのは、ステレオタイプが現実だと信じて疑わない人達。「全く○国人はもう~」「最近の若者はな~」「女はああだから」「イスラム教徒は皆そう」「獅子座の男は絶対XXXだ」などという考えは、当時アドルフ・ヒトラーがユダヤ人を死に追いやるための「考え」と本質的に変わりない。

確かに、ステレオタイプは捏造された印象ではなく、現実に基づき拡大したもの。ただ、それを全ての○国人、若者、女性などに当てはめるのは理不尽極まりない。「だとしても、ヒトラーと比べるなんて!」と思われるでしょうが、人種差別(国籍、肌色、種族)、性差別、政党差別などの背後には一人ひとりが独立した「思考」がない。レッテルを貼った対象に聞く耳なんぞも持てない。

このようなステレオタイプは全世界で起きており、決して近代のみの問題ではないが、インターネットとソーシャルメディアによって、この現象は過去よりも何倍も深刻。何故なら広範囲かつ急速に広められるからだ。更に、有名人やインフルエンサーもまた、人間の盲点に突きやすい存在となっている(ヒトラーは正しく当時ドイツにおいて、一番のサブスクライバーを持っているインフルエンサーである)。

1933: Adolf Hitler (1889 – 1945), chancellor of Germany, is welcomed by supporters at Nuremberg. (Photo by Hulton Archive/Getty Images)

リチャード・ファインマンが科学理論の確立について、こう付け加えた:

その推測がいかに「美しい」か、推測した人間がいかに賢いか、その人間が誰か、名前はなんだなど一切関係ない。実験結果と異なれば、その推測は間違っている。

It does not make any difference how beautiful your guess is. It does not make any difference how smart you are, who made the guess, or what his name is – if it disagrees with experiment it is wrong.

ステレオタイプや権力に囚われず、物事の真相を見出そうと努力する科学によって、私達はキレイな水が飲める、蛇口を回せば熱いシャワが浴びれる、排泄物を片付けてくれるトイレと排水システムがある、買いたいものをスマホで買えるようになっている。もし私達が独立思考に時間を使い、科学的(客観的)なディスカッションをしていたら、この世界はもっと良くなっていたのではないかと考えずにはいられません。

今からでも遅くないので、毎日勉強勉強勉強です~

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断然ラーニングはシリアル・アントレプレナー、IT業界の営業とマーケティングを熟知し、12年日本、10年台湾、6年北京での仕事経験を持つトライリンガル、毎日何らかを学んでいるダンより提供。
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